ケリーバック、そしてバーキン。
とても有名な高級バッグですよね。
憧れです。
ある人が言いました。
「そのブランド物を格安で手に入れようとする人は、そのブランドに相応しい人では無い。
“その商品を手に入れる手段は、いとわない。その商品と値段は別物だから。”
そんな考えの人には、そのブランドはまず似合わない。」
まるで、持つ資格が無いとでも言うように。
ブランド物の価格には、原価の他にデザイン料というものが多く含まれている。
そのデザイン料は、デザイナーの才能だけではなく、人気や実績などで跳ね上がるもので、実態としては曖昧なものだったりする。
そこが余計で、人気などどうでもよく、その商品をいかに安く手に入れるか、
そこに闘志を燃やす人が多いのは、セールの季節になれば良くわかることだ(笑)。
そもそも、商品の価格というものは、基準や規定などはない。
売れるかどうかは別として、商品の価値は、売り手が決められるものだから、どうにでもしていいのだ。
しかし、ブランド物の価格はそれだけではないと言うのだ。
「この鞄で言えば、この鞄に相応しい女性は、この鞄を無理なく買える女性だ。」
これを普通に買える人が持って、初めて似合う鞄なのだ、と言う。
この鞄を頑張らなきゃ買えない人には、この鞄は似合わない。
そう言うのだ。
悔しいが、妙に納得した。
この鞄を私が持ち、普段の格好で外に出たらどうだろうか。
恥ずかしいったら無い。
中からふざけた筆箱とか出しちゃった時には、失笑ものだ。
見掛け倒しもいいとこだ。
「商品の価格は、人を選んでいる。
お金を貯めて買うものではない。
買えるから買うのだ。」
この鞄を無理なく買える女性を想像してみる。
簡単にキャリアウーマンを思い浮かべることができる。
服から何までケリーやバーキンに似合う装いだ。
なるほどと思った。
しかし、また面白いことに、
実際に海外でキャリアウーマンとしてケリーやバーキンを持つ女性からこんな話を聞いたのだ。
「んもう、ほんとにね、ケリーやバーキンってだらしなく見えるのよ!!」
ケリーやバーキンはだらしない?
あんな高級な鞄が!?あははは、ご冗談を。
話を聞くと、確かに無理なく買えるくらいの人だから、それなりに稼いでいるのだ。
まさに成功者だ。
だが、ここで忘れて欲しく無いのは、ウン十万、ウン百万の高級バッグを自分で普通に買えるくらいのキャリアウーマンなのだ。
どんな生活だろうか。
そりゃ忙しくてたまらないわけだ。
ここで、ケリーやバーキンの鞄がどんなものか思い出してみよう。
蓋が付いていて、蓋をしたら蓋にベルトと金具を通して、
更に金具にベルトの先の金具を通して捻って固定…
めちゃ面倒な鞄なのだ。
忙しい彼女は、そんな蓋をいちいち閉めてるほど暇じゃない。
更にパンパンに書類を入れると、蓋が金具まで届かず閉まらなくなる。
するとどうなるだろうか。
蓋はパタパタさせたまま、ベルトはどこを通すこともなくぶら下がった状態で、
彼女は仕事に持ち歩くことになるのだ。
なるほど、だだ、だだらしない…
ケリーやバーキンをそんな粗末に扱うほどのキャリアウーマンに一度はなってみたいものだが(笑)、
彼女の言うことは妙に納得し、確かにだらしないかもと思った。
ますます彼女が格好良く見えてしまったのも確かだが。
この二つの話を聞いて、私は思った。
ケリーやバーキンは、キャリアウーマンが持って初めて似合うもの。
しかし、キャリアウーマンでもちょっと暇なキャリアウーマンにぴったりな鞄。
と(笑)。
本物のキャリアウーマンが持つと、だらしない鞄になってしまうのは面白かった。
作り手の理想と現実のギャップがここにある。
キャリアウーマンになっても、ケリーやバーキンは遠慮しとこう。
いや、キャリアウーマンになってから言えって話ですね(笑)。